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THXについて [映画技術]


THX

今回は、THXについてお話をしたいと思います。 THXに関する簡単な知識があると映画をより楽しめることができます。

映画を見に行くと、映画館の入口付近に「THX」というマークがついている劇場があります。日本ではワーナーマイカルの一部スクリーンや六本木ヴァージンシネマズなどにTHXプレートがついています。そしてDVDを買うとジャケットにやはり「THX」というマークがついています。いったいこれらはどういう意味があるのでしょうか。

この「THX」という言葉には、実はあの映画「スター・ウォーズ」が関係してくるのです。

○なりたち
それはもう20年以上も前のこと。映画「スター・ウォーズ」の完成間近。ジョージ・ルーカス監督は、音の調整を数ヶ月にわたる長期間をかけて作りました。セリフ・効果音・音楽それぞれが適切に調整され、セリフは朗々と響き、効果音は大迫力で迫り、音楽は観客たちの情感を大いに盛り上げるという、それは素晴らしい音が完成したのです。
しかし、観客の様子を見ようと劇場に足を運んだルーカスは、そこで愕然とする光景に出会うことになります。その劇場は設備が古く、まともに映画の音が再生されておらず、“セリフが聞こえないよ〜”と観客たちが困りはてているというものでした。
このことを大いに反省したルーカスは、“映画上映に最適な映画館の基準作り”に着手したのです。スクリーンや椅子の材質、壁の反響の具合、劇場内の照明の明るさ、スピーカーなどの音響装置の選択など、映画の作り手が意図した映像と音を、そっくりそのまま再現できる劇場作りをしようというわけです。
こうして作られた基準をクリアした劇場を、ルーカスは“THXシアター”と名づけました。自身の映画初監督作品であるSF映画「THX-1138」のタイトルをとったことからも、彼のTHXシアターへのこだわりの強さをうかがえます。

○THXシアターの登場
この"THXシアター"はアメリカ人観客にインパクトを与えました。それまでも、映画をよく見るアメリカ人にとって暗く映写されるスクリーンやノイズの入って曇ったスピーカーに嫌気を感じていたのです。"THXシアター"の基準がルーカスから発表されると、資本力のある大きな映画館がこの基準を採用しだしました。時を同じくしてドルビー社が立体音響システムを開発してきたので、劇場は一度の改装で"THXシアター"の「質」とドルビー社の「立体音響システム」を導入したのでした。
観客はすぐに反応します。同じ映画でも"THXシアター"のほうに明日を向ける人々が増えてきました。映画を見るなら心地よく見たいと思う客が、今まではわかりにくかった劇場の上映環境を入口でチェックできるようになったのです。
この影響でいまやアメリカのシネマコンプレックスは"THXシアター"基準が普通に採用しています。
日本では、このあたりの環境整備がとても遅れてしまいました。問題はいくつかあります。ひとつは日本人が上映環境にそれほど拘らなかったということ。そして映画館サイドも積極的に"THXシアター"基準の導入を行わなかったことです。幸い、黒船(ワーナーマイカルやヴァージン)がやってきて、日本の映画館は一気に改革されることになります。現在では全国的に"THXシアター"が増えつつあります。
THXシアターは、THX社の社員によって年1回チェックを受けています。もし基準に満たない状況になった場合はTHX社員は劇場についているTHXマークを剥奪します。よって、THX基準を満たすためには劇場側は常に努力をしなくてはいけません。

○THX−DVDとは?
では、THX-DVDとは何でしょう?
これはTHXシアターと同じく、映画の作り手たちが意図した映像と音を忠実に再現したDVDという意味になります。
今回のDVD制作にあたっては、以下のプロセスでのチェックが行われます。
 (1)ハイビジョン収録のマスターテープ
 (2)DVD収録用にデジタル圧縮した映像・音声データ
 (3)実際にプレスされたテスト盤DVD 
これらの素材をアメリカのTHX社に送り、厳しいクオリティのチェックを受けているのですが・・・その“重箱の隅”たるやは素晴らしく、想像を絶する細かさなのです。 “○○時間○○分○○秒○○コマ目の、画面のどこどこにこれこれなノイズがあります・・・”そんな指摘が数十箇所にわたって送られてくるのです。こうした映像の微調整を徹底的に行った結果、めでたくTHX-DVDとしての合格を得る事ができるのです。THX-DVDとして合格すると、ロゴをジャケットとDVDに収録することになります。これは、言わばハイクオリティの証明書なのです。

このほかに、DVDプレイヤーやスクリーンなどにもTHX基準が設けられています。よって、家庭で映画制作者が意図した上映ができるようになりました。ただ、機器に関しては価格が高いので簡単に導入できないのが欠点です。映画館は入場料さえ払えば、最高レベルの視聴が可能なわけなので、映画を見るときは是非"THXシアター"での視聴をおすすめします。

尚、この文章はJediokiさんの協力を得て作成したものです。

<追記/2005/09/05>
THXーDVDなのに画質が悪いという意見を聞きます。THXは、高画質を保証するものではなく、制作者が意図した映像や音響をお客さんに忠実に伝えるDVDを作ることが使命ですので、制作者が望まないような画質にすることはありません。DVDは、あくまでマスターとDVDの品質を同じにするものです。よって、「画質が悪いDVD」と感じる場合は、制作者がこの画質を望んでいるということになります。悪いのではなく意図ですね。


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コメント 8

サダー

このTHX家庭用のAVアンプはやはりちと高め。
うちは簡単サラウンドですが、いちどTHXでスターウォーズのDVDを観てみたいものです。
by サダー (2005-08-30 00:06) 

jedioki

ということで、続々登場!予定の邦画THX-DVDにも、皆さんどうぞご期待下さい!
by jedioki (2005-08-30 01:27) 

クロロ

そんなにチェックが厳しいとは…まさに品質保証の代名詞ですね
自分が見たい映画を作り、見せたいように再現できる映画館の質まで、
追及していくなんて…ルーカスと同じ時代に生きていて良かったです
 こちらでは小倉のT.JOYに「デジタル」の映画館はあります
 だから「SW3」は、いつ見に行っても画像が綺麗なので嬉しいです(^_^;)
  ※「宇宙戦争」はフィルムです。先日2本を続けてみると、
    その差は歴然でした
by クロロ (2005-08-30 13:47) 

art

しかしTHXは普及してないですよねぇ。まぁルーカスが独断と偏見で創ったイメージがあるので、しょうがないのか…。アンプそこそこの持ってますが、THXはDVDほとんどないのでいいかなぁって。でも映画館はいいですよね☆
by art (2005-08-30 18:19) 

DSilberling

クロロさん、こんにちは。LAから書き込みです。デジタルとフィルムどちらがいいかというとこれは嗜好の問題となります。ルーカスはデジタル映像が好きでSONYとカメラの開発をしました。しかしスピルバーグは、自分が最後のフィルム監督だと言っているようにデジタル撮影は行わないそうです。確かにデジタルはパキっとした映像が気持ち良いですが、被写界深度の問題があります。フィルムはデジタルよりも遥かにおおくの情報量を収録できるので色表現が豊かです。私はどちらの映像も好きですが、やはり映画の内容にあわせて選ぶべきだなあと思います。デジタルという選択肢が増えたのはいいことですね。
by DSilberling (2005-09-02 17:16) 

DSilberling

Artさん、こんにちは。THXはアメリカやヨーロッパではかなり普及しているのですが日本はまだですね。日本人はあまり上映環境に興味がないのかもしれません。最近ではフジテレビの映画がTHXDVDで発売されていますね。今後THXが普及してくれると我々も恩恵を享受できるのですがどうでしょう。
by DSilberling (2005-09-02 17:17) 

 ほー。と驚くばかりです。
 THXというのは幾度か目にしたことがあるような。位のおぼろげなものですが、意味を考えるにはいたらなかったです。多分目にした時は映画関係の会社名だろう。と解釈していたと思います。
 自分の作品の出来がよければそれで完結。かと思っていましたが、映画の受け手に最高の状態で作品を届けたいというところに迄目が届くとは、再び驚くばかりです。
by (2005-09-19 22:11) 

DSilberling

urotanさん、こんにちは。THXは社名でもあるんです。様々なクオリティをチェックしているスタッフが所属しているのがTHX社。本社はロサンゼルスにあります。全て教育を受けたスタッフの目や耳でチェックするんですよ。もちろん測定機器も使いますが、厳しい基準をクリアーするスタッフも凄いですね。
by DSilberling (2005-09-20 07:43) 

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